「待つ」から始まります。
神奈川県藤野から、街と心を耕す
「four peas flowers」
神奈川県北西部、山々に囲まれ芸術家も多く住む旧藤野町。この里山の呼吸が聞こえる丘陵地に「four peas flowers(フォーピースフラワーズ)」の畑はあります 。代表の聡子さんが実践するのは、地産地消を軸に地域の循環を大切にする「スローフラワー」という花のあり方です。
「コントロールしない」という
選択。翻訳家と農家の
しなやかな調和
聡子さんは、フリーランスの通訳・翻訳者として20年以上のキャリアを積み重ねる一方で、農家としての歩みも今年で9年目を迎えました。
かつては「仕事の依頼を待つしかない」という不安定さを抱えながら働く中で、自らの手で収入の軸をつくりたいと考えるように。そこで以前から関心を寄せていた「農」の世界へと踏み出し、「スローフラワー」と出会います。
現在は翻訳の仕事もあえて手放さず、専門職として机に向かう「静」の時間と、土に触れる「動」の時間を行き来する日々。お話を伺うなかで、この二つの軸のバランスこそが、心身の健やかさを支え、ビジネスとしても無理のない、持続可能な「心地よい安定」を生み出しているのだと感じました。

植物に学んだのは、「待つ」こと
土と向き合う中でたどり着いた答えは、意外にも「待つ」ということだと聡子さんは教えてくれた。自分がいくら急いでも、気温が上がってこなければ花は咲きません。人間の都合ではなく、植物の都合に身を委ねて、その時が来るのをじっと待つ。
「そんな試行錯誤の連続である日々は、いつも自分自身にたくさんの気づきをくれます」
完璧な答えを求めすぎず、自然のリズムに身を委ねてみる。その姿勢こそが、大地とともに人も本来の力を取り戻していく「リジェネラティブ(再生)」の本質なのではないか。聡子さんは、一輪の花を通して、そんな大切なメッセージを私たちに伝え続けてくれています。

「種」から育てる、
泥臭くも愛おしい挑戦
こだわりは、徹底した100%露地栽培です。ビニールハウスを使わず、太陽、雨、風という自然のリズムにすべてを預けます。 かつては失敗し、一度は諦めた品種にも、数年を経て培った知識とともに「種」から再挑戦しています。「去年はダメだったけれど、植えるタイミングや密度を変えれば、今の気候に合うかもしれない」。 ブランドが大切にする「完璧ではなく、試行し続ける姿勢 」を、聡子さんは日々の種まきを通じて体現しています。

知恵を分かち合い、
街を盛り上げるコミュニティ
「自分の技術を独り占めしても、いいことは何もない」。 そう語る聡子さんは、アメリカの花農家コミュニティから学んだ経験を活かし、今までの自身の経験と知見をオープンに共有しています。研修生を受け入れたり、仲間と種を共同購入したり、情報を公開する。その開かれた姿勢は、周囲に自然と仲間を集めています。
聡子さんが見据えているのは、農園を起点にした「街作り」。 「移住者や自営業者が多いこの地域で、みんなが繋がって、訪れた人が街全体を楽しめるような循環を作りたい」。 発信し続け、情報を共有することでスローフラワーの輪を広げ、現代を暮らす人々が「自分も花を一輪飾ってみようかな、育ててみようかな」と思えるきっかけを、藤野の丘から生み出し続けています。

four peas flowers
所在地:神奈川県相模原市緑区(旧藤野町)
主な花:チューリップ、金魚草、ダリア、ジニア、薬薬、季節のグラス類など年間40以上
栽培方法:100%露地栽培
(栽培期間中農薬・化学肥料不使用)
撮影日:2025.12
