三宅花卉園が描く「育種」と「無農薬」の調和
千葉県茂原市に拠点を置く「三宅花卉園」を訪れると、これまでに見たことのないような可憐で美しいアマリリスやアルストロメリアに出会います。1985年の設立以来、三宅花卉園は世界的に珍しい原種の収集と、それらを掛け合わせたオリジナル品種の育種において、世界から注目を集める存在です。
その独自の佇まいは、日本人が古来育んできた感性や美意識をベースにした「花創り」から生まれています。
ピンセットで紡ぐ、新しい生命への眼差し
三宅さんが「農薬を使わない」という選択をした背景には、育種家ならではの切実な理由がありました。
花の美しさを追求する育種(ブリ-ディング)の作業は、花に顔を近づけ、ピンセットを用いて一つひとつ丁寧に交配を行う、非常に繊細で長い時間を要するものです。その過程で、生産者自身の健康を守るために「農薬に頼らない」栽培に踏み切りました。
この決断は、結果として、花の生命そのものが持つピュアな美しさを引き出すことにもつながっています。

未知の原種に宿る、夢とロマン
三宅花卉園の大きな魅力は、世界中の未知なる原種(遺伝子源)の収集に力を注いでいる点です。
「初めて出会う原種の新鮮な魅力、その原種から新しい生命(新花)を創りだしたときの喜び、花創りは秘められた夢とロマンがあります」
そう語る三宅さんが手がけた品種は、国内の内閣総理大臣賞や農林水産大臣賞、さらにはオランダの「フロリアード」での金賞受賞など、国内外で数多くの栄誉に輝いてきました。アルストロメリアの「ミヤケストレイン」やリューココリーネの「ディーセント」シリーズなどは、まさにその結晶です。

日本人の感性を、世界のフラワービジネスへ
現在、三宅花卉園で生まれたオリジナル品種のいくつかは、花の先進国オランダを中心に世界中で流通しています。しかし、その根底にあるのは、常に「日本人の感性」です。
花を通して人々に感動を伝えたい。そして、日本の美意識が世界のフラワービジネスの未来をリードしていくことを願う。その想いを胸に、三宅さんは今もピンセットを手に、有機無農薬栽培のさらなる研鑽と、新品種の育成に情熱を注いでいます。
三宅花卉園
所在地: 千葉県茂原市
主な花:アマリリス、アルストロメリア、リューココリーネ、ラケナリアなど
栽培方法:農薬・化学肥料不使用
公式サイト:https://miyake-nursery.com/
撮影日:2026.02